i-mode Essay aug 2

 二度目は、海を照らす満月です。とある九州のホテルに泊まった折、長く平行に伸びる松林とシーサイドロードと太平洋をまとめて照らし出す月明かりを40階の窓から眺めることができました。雲一つない夜空から光が文字通り降りて来ていました。部屋の照明はすべて消し、この国にもこんな風景があるのだなあと時を忘れて見とれていました。沿岸を航行する貨物船や沖合いの漁船までが、静かな海にふさわしいオブジェとして存在しています。そこには確かに最上質のリゾートがありました。

 スペースシャトルから見ると、地球の夜の部分では日本が異常に明るいと言われます。確かに、24時間営業のコンビニやファミレスが立ち並ぶ街の谷間からは、一等星さえろくに判別できません。それでも、マンションの窓辺にススキとお団子が供えられているのを見つけたりすると、なんだかホッとするのです。ユーミンは「明日の晩からは欠ける満月より〜♪十四番目の月が好き♪」と詠いました。好きな歌詞の一つではありますが、僕は散ると知っているからこそ賞でる(満開前の)七分咲きの桜に、その思いを譲ります。花見が陽に隠された陰を味わうものなら、月見は陰の中に潜む陽を見出す宴なのだと思います。
 花見も天候に左右されますが、月見はさすがに花曇での鑑賞とはいきません。せいぜい雲が切れる間を待つしかないのですが、またそれもよしとしましょう。   白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の
    酒は静かに 飲むべかりけり
     牧水



[0] top
[1] essay top
© 2002ynishioka